蘭奢待

蘭奢待(レプリカ)

こんにちは、カウンセラーの坂上です。

先日、大阪歴史博物館で開催されていた「正倉院 THE SYOW」に行ってきました。

今回初めて「蘭奢待(らんじゃたい)」の香りが合成で再現されたと知り、どうしてもその香りを聞いてみたかったのです。(*香道では香りを嗅ぐことを「聞く」と表現します。)

様々な御物が3Dで大スクリーンに映し出された映像は、なかなかの出来栄えで圧倒されましたし、興味深い展示もありましたが、それはそこそこにして、最後の方にやっとお待ちかねの「蘭奢待」のコーナーが出てきました。

「蘭奢待」というのは雅称で、正式名称は「黄熟香(おうじゅくこう)」と言う東南アジア原産の特別な香木です。
「天下第一の名香」と言われ、足利尊氏や織田信長、明治天皇といった時の権力者達が、一部を切り取ったことは有名ですね。

再現されたほのかな香りに、これが1000年以上前の香りかという感慨の一方で、当時、香炉で焚かれたら、もっと得も言われぬ香りだったのかもしれない、とも思いました。
ところで、大河ドラマの撮影用に作られたレプリカの蘭奢待の大きさに、私はとても驚きました。
後で調べると、全長約156cm、最大径約43cmで、成人女性ほどの大きさとのことですが、図録などに載っている写真を見て、私は30cmぐらいのもっと小さい物だと思いこんでいたのです。
しかし、百聞は一見に如かず。

考えれば、私達は誰でも日常的に、そんな思いこみをたくさんしているように思います。
というより、それぞれが持っている世界観は、みんな思いこみでできていると言っても良いかもしれません。

みんながそれぞれの思いこみを持って生きている。
それが一番問題になるのが人間関係ではないでしょうか。

「言わなくてもわかるだろう」というのも、勝手な思いこみです。
愛情も思いやりも、また悲しみや苦しみも、伝えなくてはわかりません。

それは必ずしも言葉でなくてもかまわないかもしれませんが、伝えた「つもり」で実際には全く伝わっていなかった、ということもよくある話で、そこから関係が破綻することだってあります。

相手にしっかり伝わるように伝えること、そしてお互いの世界観を理解し合うためにも、常日頃からコミュニケーションをとる努力を忘れないようにしたいものですね。

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